高等教育論B of 青山学院大学 杉谷ゼミナール


In order to design the future,
we study higher education.

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青山学院大学教育人間科学部教育学科 杉谷研究室は、
新たな高等教育のあり方を探求するゼミです。

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高等教育論B(青山キャンパス開講科目)

杉谷 祐美子
3~4年対象 後期2単位

副題/Subtitle

「日本の大学の特質と課題 -国際比較と歴史的変遷の観点から大学を見つめ、教育と社会の関係を見つめなおす-」

授業の到達目標及びテーマ/Course objectives and Theme

  この授業では、高等教育制度(大学・短大・高等専門学校・専門学校)の中核を占める大学に関して、教育政策上重要なテーマを取り上げ、欧米諸国との国際比較や日本社会の歴史的変化に重点をおきながら、日本の高等教育制度および大学の基本的構造・特質・課題について考えていきます。
  この授業を通じて、大学をより深く理解するために必要な専門基礎的知識を学ぶとともに、ディスカッションやコメントなどを利用して、他者との意見交換を重ねながら、日本の大学の特質や課題について、履修者のみなさんが考察を深めることに重点をおいています。そして、視野を広げて問題を相対化してとらえる経験を重ねるなかで、学生のみなさんが現在の日本の大学の存在と社会との関わりについて見つめなおし、社会にとって、ひいては自分にとっての大学の意味を考える契機としてもらうことがこの授業の到達目標です。
  なお、この授業の基礎編として、「高等教育論A」も開講しています。「高等教育論A」は現代の大学教育や大学生に関わる身近なテーマを扱い、「高等教育論B」は現在の大学問題の特質や背景を考えるために国際比較や歴史的考察に重点を置いています。A・B各科目はそれ自体で完結していますので履修に制約はありませんが、AとBの両方を履修することによって、高等教育制度および大学に対する理解は一層深まります。

講義概要/Course description

  1990年代より今日まで、「大学改革」が声高に叫ばれています。日本では、大学・短大への進学率が戦後60年間に5倍近くも増大しました。10人に1人が進学する時代から2人に1人が進学する時代へと移り変わり、現在は「大学全入」時代を迎えているといわれています。こうした進学率の変化に応じて、大学の目的・機能は大きく変容しつつあります。それにともない、大学はこれまでになく社会からそのあり方を問われています。では、一体、大学の何を、どのように改革すべきなのでしょうか。この大きな転換期にあたり、現在の大学問題の背景にある大学の制度、財政、組織に関わるトピックを主として取り上げ、日本の大学にこれまで影響を与えてきた諸外国の高等教育制度や高等教育政策の動向を合わせ鏡として論じます。日本の大学の基本的構造、特質、改革の方向性とともに、大学の社会的役割について、みなさんと一緒に考察していきたいと思います。

授業計画/Lecture plan

1. オリエンテーション
2. 大学の誕生と発展
3. ドイツの大学
4. アメリカの大学
5. イギリスの大学
6. フランスの大学
7. アジアの大学
8. ワークショップ「日本の大学について考える」
9. 日本の大学と成立過程
10. 大学の設置形態-国立と私立の比較-
11. 高等教育財政と学費
12. 大学の組織と管理運営
13. 質保証と大学評価制度
14. まとめ
15. 教場レポート試験

成績評価方法/Evaluation

  成績は学期末の教場でのレポート型試験(70%)、平常点〔コメント、発言、議論への参加など〕(30%)によって、総合的に評価します。

教科書/Textbooks

  教科書は特に指定しません。授業は配布資料をもとに進めます。

参考書/Reference books

  参考文献等は適宜、教場において紹介します。

その他/Others

  この授業は講義を中心にしますが、履修者のみなさんに可能なかぎり配慮した双方向型の授業を目指しています。みなさんが能動的に参加できるように、ディスカッションやコメント程度の小レポートの提出を求めます。履修者には特に予備知識を必要としませんが、ただ漫然と受動的に講義を聴くのではなく、大学および大学生や教育問題に関心をもち、主体的・積極的に授業に取り組むことを期待します。また、「読む・書く・聴く・話す」といった学習スキルの育成の場としても活用してもらいたいと思います。